藤原 そこで社員からアンケートを取りました。素晴らしい人間ってどんなことができる人だと思いますかと。14人の社員みんなに聞いたら、6カ月で2000項目ぐらい出てきました。大きな声で挨拶できる、毎日新聞を読んでいる、というレベルから始まって、新入社員の指導ができる、決算書が読めるとかいったレベルのものまで。それらをまとめて、新入社員はこれくらい、主任はこれくらい、課長はこれくらいできなあかんよというチェックリストを作成しました。

 そして、それを社員が自分でチェックする仕組みをつくりました。毎日、13~14ぐらいの項目を自分でできているかチェックして、リポートにしてグループリーダーに渡す。リーダーはコメントを書いて本人に返す。

──社員になにか変化は起きましたか。

藤原 その仕組みを始めてから3年目ぐらいに気づいたんですが、不良品の発生率がとても少なくなりました。コミュニケーション力がついて、報・連・相が社内に構築されてきたんですね。

 以前は、短納期なので少し問題がありそうでも「このくらい、いいか」と勝手に判断して納品して、後からお客様からクレームが来ることがありました。それが、打ち合わせを行って先に手を打つことでクレームがぐっと減ったんです。さらに社内の効率が良くなって、利益の向上にもつながりました。

「介護施設をつくって社長の面倒を見てあげます」

──いまもみんなで「素晴らしい人間」になることを目指しているんですね。

藤原 でも、だんだんとまた疑問を感じてね。

──そうなんですか、今度はどんな疑問ですか。

藤原 社員から見たら、素晴らしい人間になるということは、結局、この会社の利益を上げるため、日本一の会社をつくるために無理やりやらされてるよなと。

──また気づいたわけですね。

藤原 日報にこんなことを書かれたことがありました。うちらパートで来てるだけやねん、今日の晩御飯なにしよう、おかず何にしようということが頭の中めぐってんねん、素晴らしい人間になるための努力なんて、そんなことやってられへんと。