尖閣列島や歴史認識を巡る日中間の摩擦や中国の人件費高騰により、「チャイナプラスワン」なる標語と共に東南アジアに注目が集まっている。その中でもミャンマーは、最近になって民主化が進み西側との交流が盛んになったことから、アジア最後のエマージングマーケット(新興国市場)として注目を集めている。

 そのミャンマーを訪問したことは前回にも述べたが、今回は、その際に感じた「アジアの通奏低音」とも言える現象について述べたいと思う。

どの家も子だくさんだったのは過去の話

 それは、農村にも急速に近代化の波が押し寄せていることだ。

 今回の訪問ではミャンマー第2の都市マンダレー周辺の農家を訪ねた。マンダレーの周辺には肥沃な平地が広がり一大穀倉地帯になっている。

 訪ねた農家は3ヘクタールとアジアでは比較的広い農地を所有していた。ミャンマーは農地に適した土地が多い割に人口が少ないため、1戸の農家が有する農地が広いようだ。主な生産物はコメである。

今回訪ねたミャンマーの農家(筆者撮影、以下同)
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 土間になっている家族の居間に通されたが、そこには冷蔵庫や液晶テレビがあった。また、壁に日本でよく見かけるクォーツ時計がかかっていたことが印象的であった。その時計は正確な時刻を刻んでいた。