2013年10月23日、サムスングループは、米ガラス大手、コーニングとの液晶パネル向けガラス素材の合弁会社の全株を2014年3月末までにコーニングに売却すると発表した。この合弁会社は営業利益率が50%を超えており、サムスングループで最も利益率が高い超優良企業で、売却発表に韓国の産業界では驚きの声も上がっている。
この合弁会社はサムスンコーニング精密素材。非上場だが、驚異的な収益力で知られる。2012年の売上高は3兆2189億ウォン(1円=11ウォン)、営業利益は1兆6774億ウォンで、営業利益率は何と52%だ。液晶の市況がよかった2010年には営業利益率が63%というモンスター企業だった。
超優良企業の合弁を解消する「ビッグディール」
サムスンコーニングの主な株主は、コーニングが50%、サムスングループで液晶パネル事業を手がけるサムスンディスプレーが42.64%など。利益のほとんどを配当に回しており、サムスングループ、コーニングの双方にとって貴重な「キャッシュマシン」だった。
サムスングループとコーニングは、2014年3月末までに合弁を解消することで合意した。サムスンディスプレーが保有していた株式に加えて持ち株比率に応じて資産をコーニングが買い取る。その額は約3兆7000億ウォン。
このうち2兆4000億ウォン(23億ドル)分で、サムスングループはコーニングが発行する転換権付き優先株を購入する。7年後にコーニングの普通株への転換が可能な優先株で、転換した場合、サムスングループはコーニングへの出資比率が7.4%となり筆頭株主に踊り出る。
「サムスングループとコーニングのビッグディール」。韓国の産業界では今回の合弁解消をこう呼んでいる。
では、どうしてサムスングループは、グループ最大の超優良会社を手放すことを決断し、コーニングもこれを受け入れたのか。
まず、両社ともに、足元の業績は盤石だ。サムスンディスプレーの親会社で84.8%を出資しているサムスン電子が10月25日に発表した2013年7~9月期決算は、売上高が前年同期比13%増の59兆800億ウォン、営業利益が同26%増の10兆1600億ウォンで過去最高の実績となった。売上高営業利益率は17.2%で韓国の大手企業屈指の水準だ。