韓国で資産規模第3位の財閥であるSKグループのオーナー会長と実弟の副会長が横領で有罪判決を受け、そろって拘置所送りとなる前代未聞の事態になった。

 事の顛末をさぐると、証券街で有名な「謎の祈祷師」に巨額の会社資金が流れるというにわかに理解しがたい事件だ(2013年2月8日付「経済民主化の号砲か――SK会長に実刑・即時拘束」参照)。

 2013年9月27日、ソウル高裁は、SKグループを舞台とした横領事件の控訴審で、オーナー会長である崔泰源(チェ・テウォン)会長(52)に対しては1審通り懲役4年、1審では無罪となった実弟の崔再源(チェ・ジェウォン)副会長(50)に対しても懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡した。

大手財閥トップ2人がそろって拘置所送りという異常事態

 1審でも実刑判決を受けていた崔泰源会長は判決後拘置所に戻り、また、崔再源副会長に対しても「逃亡の恐れがある」などとして即時拘束命令が出て拘置所に送られた。

 韓国屈指の財閥のオーナー会長と実弟の副会長というナンバーワンとナンバーツーがそろって横領で有罪判決を受けて拘置所に入った。

 韓国では財閥のオーナー家による犯罪は珍しくはない。ただ、「親子や兄弟など実権を持つナンバーワンとナンバーツーがそろって拘置所に送られるなど数年前までなら考えられなかったこと」(法曹界関係者)という。

 この日、取材に押し寄せた大勢の韓国メディアの記者たちは、兄弟そろって実刑判決、即時拘束という裁判の結果だけでなく、判決を言い渡したあとの裁判長の発言に仰天した。

 韓国を代表する財閥トップ2人に対してあまりに厳しい言葉を投げつけたからだ。

 「被告人たちはでたらめで欲深く、自分たちの私欲を満たすためにグループ会社を動員したという点でも極めてたちが悪い」

 「自分たちの力なら、捜査機関でも裁判所でも思いのままに操ることができると考えているような態度を見せ、基本的な遵法意識に欠けていると疑わざるを得ない」

 ここで紹介したのはほんの一例だ。日本では禁句となっているような表現も使って裁判長は2人を切り捨てた。