2013年9月23日、サムスングループは、グループの母体企業である第一毛織で手がけているファッション衣料事業をサムスンエバーランドに売却すると発表した。サムスングループの発祥事業の移管という大事業再編だ。
同じ日、韓国メディアはサムスン電子が朝鮮日報幹部などメディア幹部3人を役員として迎え入れると報じた。さらに27日には、情報システム会社のサムスンSDSが通信システム会社のサムスンSNSを合併すると発表した。相次ぐ動きに、韓国の産業界では「サムスングループで何が始まったのか」との話題で持ち切りだ。
伸び悩む発祥事業をグループ内で移管
第一毛織とサムスンエバーランドは、第一毛織のファッション衣料事業をサムスンエバーランドが12月1日付で1兆500億ウォン(1円=11ウォン)で買収すると発表した。
第一毛織は1954年設立で、サムスングループの母体企業の1つだ。社名の通り、繊維会社として出発している。韓国を代表する衣料ブランド「ビンポール」などを育てたが、ここ数年はファッション衣料事業は伸び悩んでいた。
特に、ユニクロやZARAの向こうを張って2012年に参入したSPA(製造小売業)が不振で、ファッション衣料事業は2013年4~6月期に営業赤字に転落していた。
一方で、ここ数年、化学素材や電子材料などの事業を急速に拡大させていた。特に液晶フィルムやポリカーボネイトなどスマートフォン関連材料や部品事業が急成長していた。2013年1~6月期の売上高もこれら化学、電子材料事業が全体の7割を占めるようになっていた。
第一毛織は上場企業で、2012年の売上高は6兆ウォン、営業利益は3200億ウォンで、営業利益率も5%を超え「まずまずの実績」とは言える。
第一毛織が目標としているのは東レか?
ただ、ここ数年、電子関連事業の売上高が急増して、一部投資家からは「ファッション衣料事業を整理して電子関連事業に集中すべきだ」との声も出ていた。
第一毛織が目標としているのはかつての提携先である東レではないか。サムスングループの創業者で現在の李健熙(イ・ゴンヒ)会長の父親である李秉喆(イ・ビョンチョル)氏は、発祥事業である繊維事業の強化のため、1972年に東レと第一毛織の合弁でポリエステル繊維などを生産する第一合繊を設立した。