新疆ウイグル自治区で衝突、20人死亡か

ウイグル自治区のウルムチでテロ対策の演習を行う中国の武装警官(2011年)〔AFPBB News〕

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●2011年6月 自治区ホータンでウイグル族が漢族を殺害
●2012年6月 自治区ホータンでウイグル族による爆破事件
●2013年3月7日 自治区コルラ市でウイグル族が漢族を襲撃、死者4人、負傷者8人
●2013年4月 自治区カシュガルでウイグル族グループが警官らと衝突、死者21人

【2009年以降、ウイグル自治区は比較的静かなのかと思っていたが、それは間違いだ。関連報道を詳しく見ていくと、出るわ出るわ、ウイグル族の対漢族抵抗活動は一貫して続いていたようだ。中国政府がいかに力で封じ込めようとも、ウイグル人の活動を完全に制圧できていないことがこれでよく分かる】

【特に自治区南部のカシュガル、ホータン、コルラでの事件発生は重要だ。例えば、タリム油田開発基地であるコルラは最近開発が急速に進んでいる。従来自治区での漢族移住は北部が中心だったが、最近は西部大開発により自治区南部でも漢族大量流入が大きな問題となっているようだ】

●2013年6月26日 自治区トルファンでウイグル族武装グループが警官隊と衝突、死者35人
●2013年6月28日 中国外交部、米国政府の同事件に対する懸念表明に対し不快感を表明
●2013年6月28日 自治区ホータンでウイグル族数百人が公安局襲撃、死者10~15人、負傷者50人
●2013年6月29日 兪正声政治協商会議主席、孟建柱政法委書記ら新疆入り、テロには厳罰と指示
●2013年7月2日 自治区公安庁、殺人、放火、爆発物などテロ行為でウイグル族11人を指名手配

【厳しい弾圧は本当に自治区の治安回復に貢献しただろうか。ウイグル族の憎しみを増幅するだけで、民族間の和解はますます遠のくのではないか。どうやらこの10年間、中国政府は何も学んでいないようだ】

(両族の確執については中国株式会社の研究~その17を参照)

後手に回る少数民族対策

 とにかく中国側対応は十年一日のごとく、変わり映えがしない。例えば、7月1日、自治区公安庁はテロを防ぐ情報の提供者に5万~10万元(日本円で約80万~160万円)の懸賞金を出すと発表、2日には刃渡り15センチを超える短剣や爆発物、テロ活動を扇動する書籍などの自主的な提出を求める通告を出したという。

 同時に、この種の「武器」などを10日以内に提出しなければ厳しく処罰するとし、所持者を見付けたら公安機関に通報することまで求めている。

 だが、こんなことでウイグル人たちが本当に同胞を当局に売るだろうか。中国政府の対応はあまりに後手後手だ。こんなことを繰り返しても治安は回復できないだろう。