記事によれば、エイサーのパソコンは欧州向けが売り上げの半分を占めている。ユーロが対台湾ドルで1%安くなるごとにエイサーの収益は5%減少するという。一方、韓国サムスン電子の場合、売り上げに占めるユーロの割合は15%にとどまっている。
また、中国のソーラーパネルメーカー林洋新能源(Solarfun Power Holdings)の場合、欧州向けが売り上げの85%を占めており、こうした欧州市場に依存しているアジアの企業には、今、破壊的な状況が起きているという。
今、欧州顧客との価格再交渉や、中国国内や米国市場への顧客の分散を余儀なくされているが、急には対応できず非常に厳しい状況になりそうだと同社は話している。
ネットブック戦略が奏功したエイサーだが
エイサーの躍進は同社が米国のパソコンメーカー、ゲートウェイを買収したことでもたらされた。この買収により北米市場でその地位を拡大し、世界第2位のパソコンメーカーに躍り出た。
また低コストのネットブック市場に照準を合わせた戦略が奏功し、エイサーは景気低迷の影響を乗り切れたと前述のウォールストリート・ジャーナルの記事は伝えている。
エイサーのスマートフォン「F900」〔AFPBB News〕
こうした施策がワン会長の自信の源であるようだ。エイサーは、競合他社と同様にモバイル端末市場への進出を図っている。
米グーグルが開発を主導するモバイル機器向け基本ソフト(OS)「アンドロイド OS(Android OS)」搭載端末の開発に1500万ドルを投じる予定で、米マイクロソフトのウィンドウズ搭載の端末も計画している。年内に7種類ほどのモデルを市場投入するとワン会長は話している。
しかしエイサーのようなアジア企業は、欧州経済の影響を補うべく新興国市場の需要増に期待せざるを得ない、というのが大方の見方だ。
ところが、政府による内需拡大政策の効果が出るまでには時間がかかる。アジアの経済成長を持続させるためには、まだ先進国が不可欠であり、今回の欧州問題はアジア企業にとって深刻なものになるかもしれないという。
またアジアの製造業を中心とする経済は、世界経済の成長エンジンになっている。
このユーロ安は一時的な頭痛の種といった程度だが、欧州の需要低迷が長引くことが最も懸念されると、記事は指摘している。

