米ヒューレット・パッカード(HP)に次ぐパソコン世界第2位の台湾エイサーが、年内にもノートパソコンで世界のトップになると強気な発言をしている。

 エイサーグループのJ・T・ワン(J.T.Wang)会長兼最高経営責任者(CEO)は18日に開催した株主総会で、数カ国における業績が予想を上回っていることから今年第3四半期の売上高は前期に比べ10~15%伸びると述べた。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、第1四半期におけるノートパソコンの出荷台数はエイサーが949万台で、HPの947万台を若干上回った。

デスクトップは1000万台を目指す

 今後も安定した需要に支えられ、タブレット端末などの新製品も消費を刺激することから、世界のパソコン市場は成長が続くとワン会長は見ている。

創業30周年のエイサー、「PCブランド第3位を目指す」と宣言 - 台湾

エイサーのJ・T・ワン会長(左)とGianfranco Lanci社長〔AFPBB News

 ワン会長は次のように説明する。

 「エイサーは競合企業よりも迅速に対応できる体制ができていた。第2四半期の後半で需要が安定した際にも、(エイサーは)素早く需要に応えた数少ないメーカーだった。当社にはそのための準備ができていた」

 同社は、欧州の債務危機に起因する需要低迷や中国における賃上げ、部品価格の高騰にも影響を受けていないのだという。製品価格を上げることなく、こうした負の要因を払拭したと説明している。

 また同氏は、デスクトップパソコンの出荷台数が年内に大きく伸びるとも期待しており、今年は1000万台の出荷を目指すとしている。

欧州危機がエイサーを直撃か?

 しかし、ウォールストリート・ジャーナルの別の記事は、欧州の債務危機とユーロ安による需要低迷がアジアの製造業に悪影響を及ぼしそうだと伝えている。

 記事によると、日本を除くアジア諸国からの輸出額のうち欧州向けは13.3%を占めており、米国向けの10.9%を上回っている。アジアの経済圏にとって欧州は重要な輸出先になっている。

 中でも最も早く影響を受けるのがパソコンなど高価格帯のエレクトロニクス製品を輸出している企業で、とりわけエイサーのような大手メーカーは影響の拡大が懸念されているという。