4月28日放送の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、モスクワで行われた日露首脳会談や尖閣諸島問題を取り上げたほか、インターネット選挙運動などについて中山氏が解説した。
自民党森派で育った安倍首相は日露交渉にどう臨むのか
中山 ロシアと中東3カ国を歴訪する安倍晋三首相は羽田空港出発に先立ち、記者団に「停滞していたロシアとの平和条約交渉の再スタートとなる訪問にしたい」と表明し、平和条約締結に向けて本格交渉の道筋を探る意向を示したと報じられました。
日本とロシアは平和条約を締結しておらず、両国間には北方領土問題などの懸案が存在します。
2006年には、北方領土歯舞諸島の貝殻島付近で、根室湾中部漁業協同組合所属カニかご漁船「第31吉進丸」がロシア国境警備艇の銃撃を受け、乗組員1名が死亡する事件がありました。
日本国民に対してロシアの公権力が武力行使をしたということは、日露が事実上の戦闘状態にあると言っても過言ではありません。ロシアには、平和条約を締結することの意味をしっかりと認識してもらいたいと思います。
なお、日本の首相の公式訪露は10年ぶりですが、今年2月には森(喜朗)元首相が首相特使としてロシアを訪問し、プーチン大統領と会談しています。
森元首相の父・森(茂喜)氏は日露交流に尽力した方で、イルクーツク近郊に分骨され埋葬されているそうです。そうした影響からも、森元首相の日露関係に対する思いは特別なものがあるでしょうし、同氏が安倍首相に先立ってプーチン大統領と会談したことは少なからず意味があると思います。
自民党の清和政策研究会(旧森派)で、森元首相の薫陶を受けて育った安倍首相が、今後ロシアとの交渉にどう臨んでいくのか。北方領土問題の早期解決に向けた主体的な外交の展開を期待したいと思います。
また、ロシアでは今年9月に統一地方選が予定されており、最後にモスクワ市長選挙が控えています。
日本のメディアはあまり取り上げていませんが、モスクワ市長選を制した候補者が「ネクスト・プーチン」の座に就くという見方もできます。この辺の動向にも注目すべきではないでしょうか。
訂正:初出で森(喜朗)元首相の父である森茂喜氏がシベリア抑留者であったとの発言を収録していましたが、誤情報であったため削除しました(編集部)。