米アップルがインドでアイフォーン(iPhone)の販売を強化していると複数の海外メディアが報じている。
英ロイター通信によると、アップルは同国の英字紙「タイムズ・オブ・インディア」の1面に全面広告を出し、「夢のアイフォーンが5056ルピー(93ドル)で手に入れられます」と宣伝したという。
先進国一辺倒だった販売戦略を見直し
インドにおけるアイフォーンの価格は米ドルにして840ドル。これはソフトウエアエンジニアの初任給のほぼ2倍に相当する。93ドルとは、その分割払いの初回分の金額だ。中国でも行っているように、アップルはインドでアイフォーンを利息なしの分割払いで購入できるようにし、多くの顧客を取り込みたい考えという。
ロイター通信によると、アップルの販売戦略はこれまで先進国市場が中心で、新興国では暫定的な策しか講じてこなかった。これがインドで韓国サムスン電子やカナダのブラックベリーといったライバルの市場支配を許してしまった原因だ。アップルがここに来てインドに目を向け始めたのは、同社に戦略の変更があったことを示しているとロイターは伝えている。
インドは中国に次いで人口が多い巨大市場。しかし米ニールセンが先頃公表した調査結果によると、同国ではフィーチャーフォン(従来型携帯電話)が依然として根強い人気だ。
同国のスマートフォンの普及率はわずか10%。フィーチャーフォンは80%となっており、この割合はニールセンが調査対象とした10カ国の中で最も高い。つまりインドは今後、スマートフォンが伸びていく市場ということになる。
インドで直営店を持てない理由
ただ、アップルは同国で直営店をまだ持っていない。同社のインド向けウェブサイトを見ても、ほかの国のサイトにあるようなオンラインストアは存在しない。
米ウォールストリート・ジャーナルによるとそれには理由がある。
同国で小売事業を営む外資企業は、販売する製品のうち、金額にして30%の製品や部品をインド企業から調達しなければならないからだ。