デジタルマーケティングの国際カンファレンス「ad:tech Tokyo 2012(アドテック東京)」が10月30日と31日の2日間、東京国際フォーラムで開催された。

 アドテックは広告代理店やメディア、コンテンツ提供者、また広告主までが一堂に会する会議で、ニューヨーク、北京など世界各地で開催。東京での開催は今年で4回目となる。

 オープニングを飾る基調講演には、米フェイスブックのグローバル・クリエイティブ・ソリューション・ディレクターのマーク・ダーシー(Mark D'Arcy)氏が登壇。

 ダーシー氏は「フェイスブックはオールドだ」と意外な言葉で聴衆の注目を惹き付けた。

 その上で、「だからこそ、無限の潜在力があるのだ」と、デジタルマーケティングにフェイスブックを活用するための基本的な考え方について、熱を込めて語った。以下、ダーシー氏の講演の様子をお届けする。

「ソーシャル」とは家族と夕食を食べ、友人とバーで飲むこと

米Facebookのグローバル・クリエイティブ・ソリューション・ディレクター、マーク・ダーシー氏(撮影:前田せいめい、以下同)

 「フェイスブックやソーシャルメディアについて理解したいのであれば、"ソーシャル"という単語の本来の意味に立ち戻って下さい。家に帰って家族と夕食を食べ、友人とバーで飲み、一緒に仕事をした同僚にお礼の言葉を言い、母親の誕生日におめでとうの電話を掛ける――それこそが"ソーシャル"なのです」とダーシー氏は言う。

 また、「フェィスブックは2004年に誕生し、急成長している企業だが、やっていることは非常に古くて、普遍的なものだと認識してほしい」と訴えた。

 共感して「いいね!」と言い、友だちの写真にコメントし、友人同士でつながる――これはソーシャルメディアの発想ではなく、時代を経ても変わることのない根源的な人間の活動であり、こうした活動こそが我々を人間たらしめているものなのだと述べた。

 その上で、何が新しいのかと言えば、それをネット空間の中で、国境を超え、グローバルに実現できるという点なのだと説明した。

全てのビジネスはローカルビジネスだ

 では、フェイスブックというプラットフォームをいかにビジネスで活用していけばいいのか。

 ダーシー氏は「全てのビジネスは規模の大小にかかわらず、ローカルビジネスである」という考え方を提示した。