米マイクロソフトが米国やカナダなどで発売したタブレット端末「サーフェス(Surface)」。これを電子機器・部品市場に詳しい米国の市場調査会社、IHSアイサプライが分解調査し、今週その結果を公表した。
これによると、サーフェスの部品原価は271ドル。これに製造コストを含めると284ドルになる。またこれとは別に本体のカバーにもなる「タッチカバー(Touch Cover)」キーボードのコストが16~18ドルになるという。
サーフェスの製造原価率は50%
サーフェスはマイクロソフトの最新基本ソフト(OS)ウィンドウズ8のARM版ウィンドウズRTを搭載する廉価モデル「サーフェスRT」と、ウィンドウズ8の上位版であるウィンドウズ8プロを搭載するモデルの2種類があるが、マイクロソフトは前者の廉価モデルを10月26日に先行して発売した。
このサーフェスRTの32GBモデルの販売価格は599ドル。つまり、同モデルの製造原価率は約50%。これは米アップルの「アイパッド(iPad)」よりも利益率が高いことを意味しており、100ドル安のキーボードなしのモデルでも利益率はアイパッドを上回るという。
サーフェスはアイパッドなどのタブレット端末の隆盛によって低迷するパソコン市場を再び活気づけようと、マイクロソフトが投入した同社初のコンピューター。スティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)によれば「パソコンであり、タブレットでもある、全く新しいデバイス」。その狙いはコンテンツ消費型のメディアタブレットにとどまらず、仕事などで使える生産性ツールだ。
そう意気込むからには、米グーグルや米アマゾン・ドットコムのような低価格路線に打って出るかと当初思われたが、結果は違った。
マイクロソフトは大口顧客であるハードウエアメーカーとの関係を維持する必要があり、メーカーと微妙なバランスを取りながら自社ハードウエア事業を展開していかなければならない。アイパッドを上回る利益率をもたらす高い価格設定の背景には、こうした同社ならではの事情があるようだ。