中国の尖閣占領で、日米同盟は破綻
尖閣諸島の確保は日本の責任であり、日本政府があらゆる努力で実効支配を確保することは当然だ。
しかし、戦後70年近くも「吉田ドクトリン」――資源を経済再建に優先配分し、軍備増強を排し軽武装に徹し、米国頼みの安全保障を志向――を採用してきた日本の国防体制は不十分で、特に核・ミサイルや敵基地攻撃能力は皆無に近い。
従って、日本単独で中国と本格的に事を構えるのは不可能だ。
日本の安保政策は、日米安保条約に基づき米国に依存する体制である。米国が、もし尖閣諸島をめぐる日中の対決にコミットしなければ、日米安保条約・日米同盟が破綻するのは説明の必要もないことだろう。
米国のアジア・太平洋重視戦略も破綻
日米同盟が破綻すれば、バラク・オバマ政権が打ち出したアジア太平洋重視の軍事戦略も破綻するだろう。
まず、日米同盟が破綻すれば、朝鮮半島有事の韓国防衛の支援根拠が消失し、韓国は米韓同盟を見直さざるを得ないだろう。また、台湾の存立も決定的なダメージを被ることは論を俟たない。
日本という「不沈空母」を失った米国が取り得る可能性のある戦略は、日本・韓国・台湾を切り捨て、東南アジアとオーストラリア・ニュ―ジーランドを繋ぐ線までフロント(戦線)を後退させたものだろう。
米国とオーストラリアが、オーストラリア北部のポートダーウィンに新たに米海兵隊を駐留させることで合意したのはこのような理由からだろう。すなわち、米国は、北東アジア正面――特に日本――を切り捨てることも想定している可能性があると見るべきだ。
