日本と中国がニューヨークで開かれている国連総会で尖閣諸島問題をめぐり激しい論戦を展開した。

国連総会で日中の激論はヒートアップ

尖閣は「日本が盗んだ」、中国外相が国連総会で演説

ニューヨークの国連前では中国系住民による反日デモが繰り広げられた〔AFPBB News

 野田佳彦首相は、9月26日の一般討論演説で4分の1を領土問題や国際紛争に費やし、「自らの主義・主張を、一方的な力や威嚇を用いて実現しようとする試みは、決して受け入れられるものではありません」と述べ、中国と韓国を強く牽制した。

 これに対し、中国の楊潔チ外相が27日夜の演説で、「日本が釣魚島を盗み取った」と過激な言葉で非難した。

 中国の「盗み取った」という表現に激憤した児玉和夫・国連代表部次席大使は直ちに「日本は正式な手続きを踏んで(尖閣諸島)を編入した」と反論。

 これに対し中国側はさらに反発し、中国の李保東・国連大使は「日本は歴史を歪曲している。13億の中国国民は怒っている。断固として戦う」と述べた。その後、児玉次席大使が「尖閣諸島は日本の領土だ」と再反論するなど、激しい攻防が続いた。

尖閣諸島の戦略的意義:米中覇権争いの「天王山」

 尖閣諸島は、魚釣島、久場島及び大正島など5島・3岩礁からなり、総面積は高々6.3平方キロメートルに過ぎない。

 しかし、大袈裟に聞こえるかもしれないが、尖閣諸島の領有は、米国の世界覇権(軍事覇権と経済覇権)を左右するものである。まさに、米国と中国の覇権争いにとって文字通り「天王山」の価値を有する。

 「天王山」とは、豊臣秀吉と明智光秀が戦った山崎の合戦で、周囲が見渡せるため「天王山」を先に占領した豊臣陣営が、戦いに有利な立場に立つことができた。この戦史が転じて、戦いの勝敗を左右するような重要な地形や条件のことを「天王山」と呼ぶようになった。

 以下、「尖閣諸島は米中の『天王山』」という論について、その謎解きをしよう。