先頃、自社ブランドのタブレット端末「サーフェス(Surface)」を発表したことから、スマートフォンも自社開発しているのではないかと噂されている米マイクロソフト(MS)だが、同社はその噂を否定したようだ。
米技術情報誌のインフォメーションウィークが、マイクロソフトのマーケティング担当幹部、グレッグ・サリバン氏に尋ねたところ、同氏は「そのような進行中の計画はない」と答えたという。「基本姿勢として、業界の噂には一切コメントしないことで知られるマイクロソフトが明確に否定したということは、確かな意味を持つ」とインフォメーションウィーク誌は伝えている。
「パートナーのエコシステムに満足している」
マイクロソフトは、自社のタブレット、サーフェスを発表した2日後に別のイベントを開き、モバイル基本ソフト(OS)の新版「ウィンドウズフォン(Windows Phone)8」を正式発表した。
このことから、野村証券のアナリスト、リック・シャーランド氏は顧客に向けたリポートで「マイクロソフトが委託製造業者と共同でウィンドウズフォン8端末の開発を進めているようだ」と報告した。
同氏は、「これが端末の基本参照モデルなのか、自社ブランドで展開する製品なのかは明らかではない」と前置きしたうえで、「サーフェスを市場投入するマイクロソフトがスマートフォンの分野に手を伸ばしても何ら不思議ではない」との見解を示した。またこのほかにも投資家の間で同様の観測が流れており、マイクロソフトが携帯電話のハードウエア事業に進出するとの噂が一気に広がった。
しかしインフォメーションウィーク誌がマイクロソフトのニューヨークオフィスでサリバン氏に聞いたところ、同氏はこれをきっぱりと否定した。
マイクロソフトはウィンドウズフォン8端末を市場投入するメーカーとして、フィンランドのノキアや、韓国サムスン電子、台湾HTC、中国ファーウエイ・テクノロジーズ(華為技術)の名を公表しているが、サリバン氏はそうした提携企業について、「我々は強力なパートナーのエコシステム(生態系)を持っており、それにとても満足している」と答えたという。
通信事業者との緊密な関係がないマイクロソフト
そして、このインフォメーションウィーク誌の記事を受け、多くのメディアが信憑性がある内容だと伝えている。例えばスマートフォンの販売には、通信事業者と密接な連携が不可欠だが、マイクロソフトにはまだその基盤がないという報道が多い。
マイクロソフトはサーフェスを市場投入するが、当初の端末は携帯電話回線を使ったデータ通信はできず、無線LAN(W-Fi)のみに対応する製品が登場するとも伝えられている。