先週、米マイクロソフトがモバイル基本ソフト(OS)の新版「ウィンドウズフォン(Windows Phone)8」を発表した。高性能プロセッサーに対応し、処理性能が大きく向上する。また高解像度の画面表示が可能になるほか、音声アシスタントや電子マネーといった機能も用意され、ゲームも大幅に拡充されるもようだ。
その数日前に同社が発表し、今大きな話題になっているタブレット端末「サーフェス(Surface)」との相乗効果で、マイクロソフトは苦戦しているスマートフォン市場で巻き返しを図れるかもしれないと言われている。
現行端末はアップグレードできず、買い控えが起こる恐れ
しかし、この新OSによって窮地に追い込まれそうな企業がある。マイクロソフトと提携して開発したウィンドウズフォン搭載端末「ルミア(Lumia)」で起死回生を狙っているフィンランドのノキアだ。
その理由は、ルミアなど現行のOS「ウィンドウズフォン7.5」を搭載する端末は、ウィンドウズフォン8にアップデートできないからだ。
ウィンドウズフォン8が市場に出回るのは今年の秋。それまでの間、現行機種の買い控えが起こり、ノキアの業績に大きな影響が及ぶと見られている。
マイクロソフトは現行のウィンドウズフォン7.5などを搭載する端末には、「ウィンドウズフォン7.8」を無料で提供し、これによりウィンドウズフォン8に近い機能やサービスを提供するとしている。しかし少し待てば、より高性能なモデルを購入できることを知っている顧客は、購入を控えるものだ。
ルミアに期待を寄せるも、いまだ結果出せず
ノキアは今月、来年末までに全世界で新たに1万人の従業員を削減するというリストラ計画を発表し、4~6月期の携帯電話事業の営業損失が事前予想を上回るという見通しも明らかにしている。
米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」を採用するサムスンの「ギャラクシー(Galaxy)」やアップルの「アイフォーン(iPhone)」が勢いを増す中、ノキアの出荷台数は減少に歯止めがかからない状態。同社は長年、携帯電話の出荷台数で世界のトップを誇ってきたが、今年初めにその座を韓国サムスン電子に奪われている。