欧州単一通貨EUROの、ひいては欧州連合EUそのものの制度崩壊の引き金を引く可能性もある"破綻国家"として、今世界から注目を集めるギリシャ。

 前2回にわたり特別編としてご紹介した先月のミャンマー訪問に続き、筆者は今週この渦中のギリシャを訪れる機会に恵まれた。

 本稿の主テーマであるカンボジアのビジネス情報から、近隣国ミャンマー編で脱線したばかりだが、縁あってほぼ同時期に話題の"欧州台風の目"に飛び込んだ体験は、これもまた筆者としても備忘的にとらえておきたい。

 せっかくなので脱線ついでに、追加特別編として再選挙直前(2日前)のアテネ訪問記をお伝えしたい。

アテネの空の玄関口、エレフテリオス・ヴェニゼロス国際空港

 ギリシャの空の玄関口エレフテリオス・ヴェニゼロス国際空港から、西へ約30キロに位置する首都アテネ。

 ギリシャ全人口約1113万人(2007年調査)の約3割(約320万人)が集中するギリシャの政治・経済・文化の中心地に、筆者は6月14日初めて降り立った。

 世界中が既に周知のごとく、ギリシャ与野党合意によって行われた2012年5月6日の総選挙において、緊縮財政政策を推進する与党連合に対する国民の反発により、連立与党は従前通りの連立政権樹立に失敗、来る6月17日(日)に再選挙の投開票が行われる。

 投開票日直前とあって、さぞかし騒然としているのでは(ストやデモによる行程中断可能性も含む)、とやや心配しながら空港を出発。

 が、懸念をよそに、空港からアテネ市内プラカ地区に続くパシレオス・コンスタンティヌウ通りを約40分、タクシーは無事スムーズにアテネ入りした。

アテネの中心地にそびえる国会議事堂。遠く前方にはリカヴィトスの丘を臨む

 市内中心地の南西部に位置するプラカ地区は、19世紀ギリシャの独特な家並みや路地の特別保存地域でもあり、お洒落なカフェやタベルナ(ギリシャの大衆食堂的カジュアルレストラン)、バーが多数軒を連ね、地元アテネ市民や観光客で昼夜問わず楽しく賑わう繁華街エリアだ。

 プラカ地区の西沿いとゼウス神殿や国立公園のある緑の敷地エリアに挟まれ、市内を南北に走るアマリアス大通りを北上すると、右手に遠くリカヴィトスの丘を臨みながら、ドーリア式大理石の柱がいかにもギリシャ風の印象を与える国会議事堂の立派な建物が見えてくる。

 国会議事堂のまさに目の前がアテネの中心地、シンタグマ広場だ。