今夜は意表をついてイギリスのスパークリングワインを

男と女のワイン学(レッスン13)

2012.06.12(Tue)平野 美穂

 スパークリングワインの製造においては、発酵時に発生する二酸化炭素の圧力が瓶を破壊してしまうことが課題でした。しかし、分厚いガラス瓶の生産技術を開発し、ポルトガルとの交易でコルクを入手できたことで、スパークリングワインの生産を可能にしたのです。

 イギリスのスパークリングワインはどんどん品質が上がり、世界のワインコンクールでの評価も高いものになっています。

 スパークリングワイン用のブドウが生産される南部は、緯度の割に島国特有の温暖さがあり、土壌が似ていると言われるフランスのシャンパーニュ地方と平均気温もほぼ同じです。おいしいスパークリングワインができるのも納得です。地球温暖化の影響もあり、ワイン用ブドウ栽培地の北限が広がっていることも功を奏しています。

イギリスで売られているワインの種類は世界一

 イギリスでワイン生産が発展しなかった理由は、大きく2つあります。

 1つは緯度の問題です。元々地中海沿岸で発展したワインは、乾燥と照りつけるような日差しが必要とされています。対してイギリスは緯度が高く、気候が不安定であり、ワインに適した気候を持っていません。

 もう1つは、キリスト教です。11世紀にはイギリスでも、修道院が運営する38ものワイナリーが存在していました。ワインの普及に欠かせないのは、カトリック教会の存在です。ヨーロッパへも新大陸へも、布教と共にワインが広まっていたのです。

 カトリックの熱心な信者で、教皇からの信頼の厚かったヘンリー8世(1491~1547年)は、自らの離婚問題からローマ・カトリック協会を離脱し、独自にイギリス国教会を設立しました。そのためイギリスでは、ワインは宗教的な意義をほとんど持たなくなったのです。

 イギリスはワイン生産では後れを取っていますが、ワインを消費することに関しては世界を牽引しています。

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