これに対し、楊外相は「冷静さを保ち、外交ルートを通じて平和的に問題を解決すべきだ」と、従来の見解を改めて強調しました。
2003年から日本、韓国、北朝鮮、ロシア、米国、そして議長国の中国で6者協議を行ってきましたが、ここにきて中国があまりにも北朝鮮に有利な外交をしている。その背景には、朝鮮半島の北緯38度線以北を奪い合う米中の思惑があります。
中国は、核を保有する隣国の北朝鮮と蜜月関係になろうとしています。つまり飴と鞭の両方を使い、“チャイナナイズド”して中国的な民主化をさせようとしている。対する米国はというと、“アメリカナイズド”した民主化を求めている。両大国のせめぎ合いが、朝鮮半島情勢をヒートアップさせているのだと思います。
第2次世界大戦中、ルーズベルト、チャーチル、スターリンによってヤルタ会談が行われましたが、当時と本質的には変わらない気がします。冷戦構造を色濃く残した朝鮮半島内で、米国と中国とロシアがしのぎを削っている。大国同士の利害関係が目に見えるようです。
6者協議の議長国・中国ではなく、ドイツで行われた米朝会談
一方、米政府が、北朝鮮の長距離ミサイル発射計画の発表後も、北朝鮮との非公式対話チャンネルを通じて接触できるルートを確保していることが分かりました。
外交消息筋によると、「ミサイル発射計画の発表後、米朝間の公式接触はなかったが、“ニューヨーク・チャンネル”と言われる接触の窓口は状況変化と関係なく、常に稼働できる状態にあると見るべきだ」とのこと。
米朝間の関係が悪化局面にあるにもかかわらず、双方の状況と反応を探るため、非公式対話チャンネルは維持していると受け止められています。
米国務省のヌーランド報道官は4月3日の定例会見で、ドイツ・ベルリンで開かれたとされる米朝非公式会合について「トラック2(民間レベル協議)会合であり、政府間の接触はなかった」と説明。また、今まで米朝間でトラック2の接触はあったかもしれないが、政府間の公式対話はなかったと付け加えました。
ここから何が読み取れるかというと、米国は北朝鮮に対して厳しい外交姿勢を示しながらも、別のチャンネルを確保しなければならないということです。これは、クリストファー・ヒル氏が東アジア・太平洋担当国務次官補だった頃から変わりません。
北朝鮮の門戸を米国側に開放しなければ、真の民主主義国家は北緯38度線以南の韓国しか存在しないことになる。それは韓国にとって痛手であると同時に、中国や北朝鮮の利益に資することにもなる。米国はそれを阻止したい。
