最も積極的なクリントン政権、約9億ページを公開
歴代大統領の中で最も文書公開を促進したのが、クリントン大統領(民主)である。1995年の大統領令は、秘密を最小限にするため、文書の公開か非公開で迷いがあれば機密化されるべきではないと規定した。
また、大量殺戮破壊兵器の開発に関わる手法や情報ルートが明らかになりそうな文書などを除き、ほとんどの情報の非公開期間を必要最低限の10年とした。さらに、国防に関する特殊な情報以外の全てを25年以上で自動的に公開されるようにしている。
当時、後のクリントン政権の参謀となるジョン・ポデスタ氏や後の中央情報局(CIA)長官ジョージ・テネット氏も指針改定に関わった。1995~2001年の間に約9億ページが公開され、クリントン以前の全ての政権が公開した総ページ数を上回るという。
その後、ブッシュ政権(共和)は2003年の大統領令で公開済みの情報を再び非公開とする場合の規定を盛り込んだほか、省庁間の再審査委員会を設け、情報部門の拒否権を容認するなど文書公開に歯止めを掛けた。
これに対してオバマ大統領(民主)は2009年12月、執行機関が機密文書を取り扱う方法を変更し、行き過ぎた大量の機密文書の蓄積に歯止めを掛け、非公開文書の公開スピードを早める方針を打ち出した。もし機密情報か否かの判断がつかなければ、機密化しないように指導している。
ベトナム戦争の軍事作戦も公開対象に(参考写真)〔AFPBB News〕
公文書館の機密文書に関しては、再審査する国立文書公開センター(NDC)を設立し、ここに権限を集中させた。NDCによる指導の下で、自動的に公開されて然るべき4億ページに上る文書を、2013年末までに一般公開するよう各省庁に義務付けている。こうした文書の中には、第2次世界大戦や朝鮮戦争、ベトナム戦争の軍事作戦などが含まれるという。
さらに画期的なのは、これまで例外的に25年以上経過しても自動的に公開されなかった全ての情報について、実行可能な有限期間を設けることである。極めて特殊なケースを除き、75年以上の非公開期間を設定することを禁止している。
また今回初めて、各省庁に対する機密区分の指導について抜本的な見直しを行う。本当に機密区分が妥当なのか、必要以上の機密化を求めていないか――。担当者に年1回の訓練を義務化した上で、その結果を確認するという。ブッシュ政権が創設した省庁間の再審査委員会に関しては、公開判断の際の情報部門による拒否権を廃止。また、一度公開された情報の再機密化を防ぐための規制も強化した。

