タイ市場SET指数、10%以上下落 取引停止に - タイ

1997年通貨危機当時のタイ・バンコク市場〔AFPBB News

 1990年代末~2000年代初めにかけ、アジアからロシア、東欧、そして中南米へと飛び火した通貨危機では、いずれも財政危機が引き金となった。国際決済銀行(BIS)の2003年12月の四半期レビューによれば、2000~03年に発行されたソブリンCDSのうち、半分以上が危機当事国の国債を対象とするものだ。

 ちなみに、「失われた10年」の真っ只中でデフレと銀行不良債権問題に苦しんでいた当時の日本の国債を対象とするソブリンCDSも、発行高全体の6.3%のシェアを占め、国別ランキングで3位につけている。

 その後、企業を参照対象にする銘柄の発行高が拡大したことから、1998年にCDS総発行額の約3分の1を占めていたソブリンCDSのシェアは急速に低下した。

 しかし現在では、そのシェアが15%近くまで再び上昇している。米国最大の証券保管振替機関DTCCの子会社が保有するCDSの市場データベース(TIW)によれば、CDSの総発行残高(想定元本ベース)15.2兆ドルのうち、ソブリンまたは州対象のCDSは2.2兆ドルを占める(2010年3月12日時点)。参加者の9割が大手金融機関というプロが集まるCDS市場では、ソブリンCDSが大事な売買対象になる。

犬の尻尾が国家を振り回した「ギリシャ悲劇」

 今回のソブリンCDS騒動の発端は、2009年末に露顕したギリシャの財政危機。構造的な財政赤字にあえぐ同国政府は、EU通貨統合の加盟条件(コンバージェンス・クライテリア)を満たすため、統計の操作や「飛ばし」まがいのソブリンCDS取引を使い、財政赤字を実態より小さく見せていた。それが明るみになると同時に、「悲劇」の幕が開いた。

 このスキャンダルをきっかけに、ギリシャ国債のソブリンCDSのプレミアムは急上昇。2009年12月初めに200ベーシスポイントだったプレミアムは、年明けに300ベーシスポイントを超える水準にまで跳ね上がった。

 一方、この時期の主要先進国のプレミアムは80ベーシスポイントを超えていない。つまり、ギリシャの信用リスクを危ぶむ見方が金融市場でいかに高まったかを示している。

ギリシャでゼネスト、数万人がデモ行進

財政危機のギリシャではゼネストも〔AFPBB News

 ギリシャでは国債入札の首尾が危ぶまれ、国債の発行利回りも跳ね上がった。しかし、ギリシャのソブリンCDSは国債流通量の3~4%にすぎない。「犬の尻尾」に国家全体が振り回される事態に陥ったのだ。

 しかし、国家の危機は金融機関の商機。欧米の大手金融機関はこぞってギリシャのソブリンCDS取引に参入していた。

 2010年3月16日、米国商品先物取引委員会(CFTC)のゲンスラー委員長がブリュッセルの欧州議会経済通貨委員会で講演。ソブリンCDSを使ったギリシャ政府による「飛ばし」まがいの10億ドルの取引について公然と非難し、CDS取引の透明化を訴えた。しかし皮肉なことにこの「飛ばし」取引には、ゲンスラー委員長のお膝元である米国の大手投資銀行の関与が噂されている。

「裸の」CDSは投機性高く、金融市場を不安定化?

 ソブリンCDS、特に「裸の」CDSの取引は不道徳であり、規制をかけるべきだとする意見は欧州に根強い。

 例えば、ロンドン・ビジネススクールの経済学教授で経済政策調査センターの創設者であるリチャード・ポーテスは、「裸の」CDSは禁止すべきだと訴える。その理由は、(1)「裸の」CDSは投機性が高く金融市場を不安定にする (2)取引のカウンターパーティリスクやボラティリティーの情報は一握りのディーラーに独占されて透明性を欠く――というものだ。