また、70~80代の老人の中には年金をもらえない人がいる。一人っ子政策以前の「子だくさんの時代」に主婦をしていた層だ。年金をもらえない老人は、自分の子供にお小遣いをもらうしかない。
だが、実の子供たちは、それを嫌がる傾向が強い。「住宅ローン、車のローン、そして教育費の支払いで精いっぱい。正直言って親の面倒を見るどころではない」(40代、会社員)のだ。
実際、生活に困窮する老人は少なくない。最近はペットボトルを拾ってお金に換える老人や、かき集めてきた廃品やごみを売って食いつなぐ老人も出現するようになった。
上海で老人大学が大人気
だが、その一方で上海には元気はつらつとした老人たちも少なくない。
今、上海では、老人大学への入学がちょっとしたブームになっている。入学手続きの当日に明け方から長蛇の列ができるところもある。

上海には公的な老人大学は278カ所、町内ベースで運営される老人大学は4032カ所あり、50万人を超える老人がここで勉強しているという。退職した大学の教員を大量に派遣して教える大学があれば、書画、ピアノ、外国語、歴史、文学など200科目の授業を用意する大学もあり、老人大学は充実の一途をたどっている。
筆者は、長寧区にある某大学が運営する「老人大学」を訪れた。
ここでは毎日、午前中2コマ、午後2コマ、各1時間半の授業が行われる。卓球、社交ダンス、ピアノ、編み物、パソコンなど、授業の内容は多岐にわたる。大学というよりも、日本で言う「カルチャースクール」に近い。費用は100~300元(1元=約12円)と一般庶民も参加しやすい料金になっている。