欧州の財政危機に端を発した世界的な景気減速の先行きをどう見たらよいのか。危機管理の秘訣はあるのか。

 世界中の金融当局者、経営者、投資家の意見が錯綜する中で、2011年10月11日から3日間、ソウルで「世界知識フォーラム」という大規模な経済会議が開かれた。討論の内容も興味深かったが、何よりもその規模と参加者に驚かされた。

開催地は韓国なのに英語一色の国際会議

午前8時からのフォーラムでも、会場はほぼ満席状態になった(写真は演壇に立つゴードン・ブラウン元英首相)

 このフォーラムの主催者は韓国最大の経済紙「毎日経済新聞」。

 今年で12回目のフォーラムは、ソウルで最大の宴会場を持つシェラトン・グランド・ウォーカーヒルで開かれた。このホテルは日本人にはカジノがあるホテルとしても有名だ。

 今年のテーマは「新しい経済危機」。世界中から経済学者や政治家、企業経営者を招いて、講演や議論が10月11日午前8時から始まった。

 このフォーラムでは驚くことばかりだった。まず、会議の基本言語は英語。講演も討論も、聴衆からの質問もすべて英語。聴取にはイヤホンを使った韓国語同時通訳があるが、会場内は英語一色だ。

 会議の規模も主催者が「アジア最大の経済フォーラム」と言うだけのことはある。3日間で71ものセッションの講演や討論会が開かれる。講演や討論をするスピーカーの数は200人以上に達する。

ブラウン前英首相、サマーズ元米財務長官、サンデル教授、ルービニ教授・・・

 そのメンバーも豪華だった。ざっと列挙すると、ゴードン・ブラウン前英首相、サラ・ペイリン前アラスカ州知事、「正義」に関する白熱講義で有名なマイケル・サンデル・ハーバード大教授、2010年にノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・ピサリデス英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)教授。

 ラリー・サマーズ元米財務長官(直前に個人的な事情が生じ米国から衛星生中継で参加)のほか、2008年の米国発経済危機を予言したことで知られるヌリエル・ルービニ・ニューヨーク大教授、中国系で猛烈スパルタ教育についての著書『タイガー・マザー』が米国でベストセラーになったことで有名なエイミー・チュア・エール大教授、ストローブ・タルボット米ブルッキングス研究所所長など。