――例えば、どんな選手が印象的ですか。
本山 プロゴルファーの石川遼くんなどは感心しますね。あの年齢で、周りで支えてくれる人たちに感謝できるというのは、素晴らしい。
長嶋茂雄氏は、メンタルトレーニングなどは経験がないと思いますが、生まれながらにそうした発想ができているように思えます。ものすごい重圧がかかる緊張の場面で、彼は「打てなかったらどうしよう」という発想が全くなく、「ここで打ったら観客が喜ぶだろうな」と思ったそうです。
人間は、厳しい状況に追い込まれると物事に対する視野が狭くなります。ところが、自分を支えてくれた人のことを考えると、狭かった視野がグンと広がるのです。
忙しくても日記内観はできる
――忙しいビジネスマンにとって、集中内観を行うことは、時間的にかなり難しいのが実情です。もうすこし手軽にできる方法はないでしょうか?
本山 内観はあくまでも時間をいったん止めて、改めて自分の人生を見つめ直すのが原則ですが、集中内観が難しい場合は、日記内観という方法もあります。これは、毎日、日記を書くように、ノートに内観した内容を書き込んでいく方法です。箇条書きにしながら、思い出していきます。
――どういうやり方ですか?
本山 基本は、集中内観と同じです。まずは母親に対して「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」を思い出していきます。小学校低学年から高学年、中学生、高校生、現在までを、時系列的に思い出していきます。
母親が終わったら、次は父親、祖父母、兄弟、夫婦など、それぞれについて進めます。一通り終わったら、また再び初めから繰り返し行います。
――1日にどのくらいの時間やればよいのですか?
本山 決まりはありません。もちろん、1時間くらいできれば理想ですが、1日15分でも構いません。帰りの電車の中でやるのもいいです。