――内観を行う理想の時間帯はありますか?
本山 個人差や、その人の生活のリズムもあるので、一概には言えませんが、朝はお勧めです。夜は付き合いもあるし眠くもなりますが、朝はすっきりしていて電話もあまり来ないので、集中しやすいと思います。
――期間はどのくらいやるのですか?
本山 一生です。内観に終わりはありません。「自分を知る」練習は、繰り返しトレーニングしないと鈍ります。繰り返し継続することでどんどん進化します。三冠王を取った野球選手でも、毎日の素振りをやめたら打てなくなるのと同じです。
――日記内観でも、細かいことを思い出しますか?
本山 集中内観でも、2~3日はなかなか思い出せないわけですから、焦る必要はありません。続けていけば次々と思い出します。記憶の果てにあった事柄が細かく浮かび上がってきた時は、温かい気もちや感動が湧き上がってくるものです。
ストレスと内観
――ストレス社会を生きるビジネスマンにとって内観の持つ意味は何でしょうか?
本山 ストレスに強い体質をつくることだと思います。同じストレスがあっても、それをどう感じるかは人それぞれです。例えば、上司に叱られて、そのことを家に帰ってもずっと考えている人にとっては、大変なストレスになりますが、叱られてもすぐに切り替えられる人にとっては、切り替えた時点でストレスは終わりです。
動物と違って人には記憶と思考があるので、ストレスはその場限りではなくどんどん広がっていきます。その拡散を止める能力が大事になります。
――内観は、感謝をする練習ですから、ストレスの受け止め方が変わってくるわけですね?
本山 そうです。上司が叱った事実を別の角度から見られるようになり、物事を肯定的に捉えられるようになります。不平不満が多い人は、5つぐらい嫌なことがあったら10にも20にも感じてしまいますが、肯定的にとらえる人は1か2ぐらいにしか感じません。プラスの解釈かマイナスの解釈かで、人生には大きな差が生まれると思います。