毎月恒例のクラシックカー展示販売会 米カリフォルニア州

個性的な名車たち コルベット〔AFPBB News〕

残り1261文字

 ところが、機器や技術の発展によって様々なものづくりを理論的に検証できるようになった。「こうすれば空気抵抗を少なくできる」「こうすれば衝突した際のエネルギーを効果的に吸収できる」といった具合である。逆に言えば、理屈に合わないアイデアを取り入れる余地が極めて少なくなってしまった。

 無駄をそぎ落とした車づくりを実現できるようになったが、逆に、不幸だと思われる事象が生じた。各社の車両デザインが没個性になった、つまり似通うことが避けられなくなったのだ。

インサイトとプリウスはそっくりさん?

 例えば5人乗りのコンパクト車に1500ccエンジンを搭載する場合、限られた車体サイズの中で最大の居住空間を確保しながら空気抵抗とコストを最小限に抑える・・・こんな要望をコンピューターに入力すれば、基本設計が完了する。

ホンダのHV車「インサイト」、南半球デビュー
トヨタ、新型プリウスを発表 北米国際自動車ショー

そっくりさん? ホンダ・インサイトとトヨタの3代目プリウス〔AFPBB News

 設計は理論の積み重ねによって行われているだけに、最良の解は大抵1つしか見つからない。コストをかけられれば違った答えを出せないわけではないが、昨今のようなご時世ではそんな無駄なお金は使えない。

 トヨタ自動車の3代目「プリウス」とホンダの新型「インサイト」という今年話題を集めたハイブリッド車の外観を比べてみると、そのことがよく分かる。屋根の後半を傾斜させた5ドアハッチバックのスタイルをはじめ、基本的なボディーラインは誰が見ても共通項を見出せるであろう。燃費に効く空気抵抗を突き詰めると、同様な回答にたどり着いたということである。

 トヨタ「ヴォクシー」と日産「セレナ」、ホンダ「フィット」とマツダ「デミオ」、スズキ「ワゴンR」にダイハツ「ムーヴ」。あらゆるクラスでそっくりさんコンテストに出したくなるようなクルマが続出している。

低価格車がグローバル市場を席捲

 ハイブリッド車や高級セダンのようにセールスポイントになる技術や品質を与えられたクルマの場合は、まだ人々の興味を惹く魅力が残されている。しかし、今後の世界市場を担うことになるLPV(ロー・プライス・ビークル)や、LPVをベースに開発されるであろうスモールカーは、何がしかの「個性」をとどめることができるのだろうか。それが、今後のクルマづくりの方向性を占うことに間違いない。