11月24日、同月3~4日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が、四半期ごとに恒例の経済見通しとともに公表された。一読して感じるのは、米国経済の先行きについての慎重姿勢である。経済見通しに付されたコメント部分には、次のような文章がある。巨大バブルが崩壊し、家計の過剰消費が削ぎ落としを余儀なくされて、需給ギャップが拡大しているという後遺症から米国経済が脱するまでにかかる時間を、FOMCがいかに厳しくみているかが理解される。
「大半の参加者は、持続的な経済成長率、および連邦準備理事会(FRB)の政策目標の解釈と一致する失業率やインフレ率によって特徴付けられる、長期にわたるパスに十分収斂するためには、約5~6年が必要になるだろうと予想した(Most participants anticipated that about five or six years would be needed for the economy to converge fully to a longer-run path characterized by a sustainable rate of output growth and by rates of unemployment and inflation consistent with their interpretation of the Federal Reserve's objectives.)」
むろん、FOMC内にはハト派・タカ派の温度差はある。上記の文章に続けて、収斂プロセスにはさらに長い時間が必要になるかもしれないと数人(some)が主張する一方、インフレについては今後数年で長期トレンドに落ち着くけれども実体経済については収斂プロセスがやや長く続く可能性が高いと「少数(a few)」が主張したことが記されている。ハト派寄りの主張が「数人」で、タカ派寄りの主張が「少数」。議事録は、こうしたワーディングから、FOMC内では中心の主張を取っている多数派を除くと、この問題ではハト派が優勢だという勢力バランスを示唆してくれる。
このほかにも、今回のFOMC議事録には、興味深い記述がいくつもある。いくつか列挙しておきたい。