2009年2月9~11日の3日間、東京国際フォーラムで「世界料理サミット2009 TOKYO TASTE」が開催された。

果汁酢「恋雫」(左)とポン酢醤油「月想ひ」

 国際的料理学会として世界各地で開催されている同大会が、初めてアジアで開催されるという歴史的意義を持つ3日間。日本、フランス、スペイン、イタリア、イギリス、米国、オーストラリア、中国の8カ国から世界のトップシェフ21人が参加し、その卓越した技術とアイデアで来場者を魅了した。

 3日間通し券が8万円という高値にもかかわらず、超一流の味と技術を求めて集結した人たちに振る舞われた彼らの料理は、素材に関しても、もちろん超一流のものが揃えられたのは言うまでもない。

 その指定調味料の1つに選ばれたのが、福岡県に店を構える宇佐美本店の果汁酢「恋雫」とポン酢醤油「月想ひ」だった。

古くからプロの厨房に認められた味

 宇佐美本店は、元々業務用に醤油、果汁酢を製造する醸造元だ。特に主力商品である橙(だいだい)の果汁酢は、業務用のみの販売だったという。それを4代目の当主、宇佐美志都さんが、「一般のお客様にも味わっていただきたい」という思いで、創業110周年にあたる2006年の秋に一般向けの販売を開始した。

山口県周防大島産の橙(だいだい)

 「恋雫」と名づけられた果汁酢は、皇室ご用達の逸品で知られる、山口県周防大島産の橙のみを使用。それも、青採り、早摘みと言われる、橙色に染まる前の実をもぐ収穫法を採用している。

 青い実は、熟したものに比べて細胞の活性度が高く、栄養面でも、味覚面でも優れているという。もぎたての新鮮な橙は、熟練の職人たちにより一つひとつ丁寧に皮がむかれていく。

 皮と実の間の「わた」をどれだけ残すかによって味は大きく左右するため、職人の腕によるところが大きい。職人たちは、その年の果実の出来を見て、経験に基づくカンで、その残し度合いを決める。

 そうやって絶妙な加減で皮をむいた実を、今度は専用の機械でギュッと絞っていく。「適度に酸っぱくて、ほんのり甘くて。まるで『恋』のよう。それに橙の美味しさを凝縮した『濃い』果汁でもある。商品名の「恋雫」はここからきているんですよ」。宇佐美志都さんは、ネーミングの由来を語ってくれた。