今週のJBpress・第2部では今週の英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙とエコノミスト誌の記事を選んでお伝えしたい。今週のテーマはイタリアの危機がもたらすかもしれないEUおよびユーロ圏の崩壊である。
デフォルトの危機に直面するイタリア経済
いま、欧州ではイタリアが最もホットな国となった。ギリシャで火がついたユーロ危機が、スペインを飛び越え、欧州第3位の経済大国イタリア問題へと波及したからだ。
対応を誤ればユーロやEUの崩壊にさえつながりかねないと見られている。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は「イタリアが採用すべき『プランD』」の記事で、次のように書いている。
「イタリア政府は2本立ての戦略を取るべきだろう。第1の戦略は、筆者が『プランD』と呼ぶものである」
「この『D』は、devaluation(切り下げ)またはdefault(デフォルト)のDである。念のため書き添えるが、筆者は、イタリアがユーロ圏から離脱すべきだと言っているわけではない。万一の場合に備えておくべきだと述べているのだ」
そして第2の戦略としては、これは何があっても絶対にやらなければならない戦略として、長期的に生産性を高めるために信頼性の高いプログラムを作ることだという。
「もしプランDが実行に移されたら、我々が知っているようなEUは恐らく終わりを迎えることになる。さすがの(ドイツのアンゲラ・)メルケル首相もそこまでは望んでいないだろう。ぐずぐずしていたら、EUは本当に崩壊してしまう。EUは今後数日のうちに重大な選択をしなければならない」
ドイツのメルケル首相の態度が軟化して、金融的な支援が得られたとしても、イタリア経済には年間2~3%の経済成長が求められている。しかし、その達成は容易ではない。イタリア経済を引っ張ってきた繊維や家具などの産業が壊滅的なダメージを受けているためだ。