5月のマルセイユで開催されたMOF料理部門の最終審査会の模様は、前回の記事として報告した。その時、アラン・デュカス氏に単独インタビューをする機会を得たのだが、最後にはやはり日本の震災のことが話題になった。

格別に日本贔屓のアラン・デュカス氏

ディナーのバックヤードでは、たくさんの料理人たちが大忙し

 フランス料理のスターシェフたちのほとんどが、日本贔屓として知られるが、彼はまた格別。日本でのビジネス展開も盛んだ。

 「震災の前も、後も、私は変わらず日本が大好きですよ」

 と、笑顔を見せながら彼が明かしてくれたのは、6月に予定されている、日本のためのチャリティ―ディナー計画。

 「1人1000ユーロのディナーです。関係者とかプレスとか、特別枠は一切ない、厳密なチャリティー。私自身もお金を払ってテーブルに着くし、友達や常連の顧客にも参加を呼びかけているところです」

 1000ユーロといえば約12万円。なんとも豪勢なディナーであるが、経費を差し引いた半分以上の額を寄付にあてるという目的のための金額設定だという。

 はたして、それからほぼひと月後の6月14日、セーヌ川を望む外務省の大広間で、「Dîner 《Urgence pour le Japon》」と題されたディナーが執り行われた。

 主催は、アラン・デュカス氏とジョエル・ロビュション氏というフレンチの両巨頭がプレジデントを務め、15人の星付きシェフたちが名を連ねる「Collège Culinaire de France(コレージュキュリネール・ドゥ・フランス)」というアソシエーション。