国家安全保障担当補佐官への就任が見込まれているマイケル・ウォルツ氏(9月10日撮影、写真:AP/アフロ)

保守本流ルビオ登用の狙い

 ドナルド・トランプ次期米大統領は、中国を厳しく批判してきたマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出=53)を国務長官、ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官にはマイケル・ウォルツ下院議員(同=50)を充てる方針を固めた。

politico.com/marco-rubio-state-secretary-trump-

 その一方で大統領選での功労者である億万長者、イーロン・マスク氏のテスラ工場誘致絡みの親中スタンス*1は黙認、政権スタート時は硬軟両様をちらつかせた対中路線を堅持する構えだ。

*1=マスク氏は、EVテスラの上海工場建設では中国共産党から特別待遇を得ており、「中国人は頭が良く、勤労精神に富んだ国民だ」と絶賛している。

 その意味するところは、トランプ氏はルビオ氏を当面は「トランプ外交の顔」に対中強硬姿勢を見せること。

 そして中国の出方次第では、すでに公言しているように対中輸入品関税率の60%(さらには150~200%まで)引き上げるという脅しをかける戦術なのだ。

 バイデン政権は民主党左派が主張する人権問題と台湾防衛を対中政策の軸に据えてきた。

 これに対し、トランプ氏はじめ共和党の反中派はルビオ氏を除くと、どこか人権問題にはあまり関心がない。

 中国による台湾侵攻についてもトランプ氏自身、観念論的である。10月10日、トランプ氏はデトロイト経済クラブでの講演でこう述べていた。

「私は習近平国家主席と強い関係にある。もし台湾に侵攻したら、関税を150~200%へ上げると言ってある」

「台湾海上封鎖を阻止するために米国は武力行使する必要などない」

「習近平氏は私を尊敬している。しかもそうした状況になれば、私がクレージーになるのをよく知っている」

pbs.org/watch-live-trump-delivers-remarks-at-detroit-economic-club-event

 トランプ氏は、習近平氏は脅せば、台湾侵攻などしないという強い信念を持っているのだ。

その根拠が奈辺にあるかは分からないが、そこが唯我独尊トランプ氏の強みなのかもしれない)

 国防長官には、イラク戦争参戦経験のある保守系FOXニュースのホスト、ピート・ヘグセス氏(44)が抜擢されたようだが、誰がなろうとも陸海空軍全軍の最高司令官には反論できないだろう

nytimes.com/pete-hegseth-defense-secretary-trump.