大統領選の期日前投票をする人たち(10月31日、写真:AP/アフロ)

どちらの支持者がゴミか?

 4年に1度の米大統領選は、投開票日まであとわずかとなった。

「高齢」を理由に降板したジョー・バイデン大統領だったが、後継者のカマラ・ハリス副大統領の応援演説で、ドナルド・トランプ前大統領の支持者を「ゴミ」と呼んでハリス氏の足を引っ張った。

 ホワイトハウスは公式発言録作成に際し、所定の公文書作成手続きを踏まず、改竄後の内容を急ぎ公開した。

 バイデン氏は10月29日、これまで人種差別発言で物議を醸していたトランプ氏を応援する白人コメディアンが、トランプ氏も出席していた集会で米領プエルトリコを「ゴミの島」と揶揄したことに対し、「ゴミはトランプ氏のサポーターズ(支持者たち)だ」と発言した。

 トランプ氏も民主党支持者を「完全なゴミ」などと中傷したことがあるが、日常的に過激な発言をするためか、問題視されなかった。

 ハリス氏は直ちに「誰に投票するかで、その人たちを批判することには強く反対する」と発言し、バイデン氏と距離を置いた。

 2016年大統領選では、民主党候補のヒラリー・クリントン元国務長官がトランプ氏支持層を「惨めな人々」と呼んだことが敗因の一つになった。

 ハリス氏は、この「悪夢」が再来したかのような発言に当惑の色を隠し切れずにいる。

 経済、移民、LGBTQ、中絶など有権者に関心の高い政策をめぐって論争を繰り広げてきた大統領選は、最後の最後でお互いの支持者をゴミ呼ばわり。

 選挙では「王様」であるべき重要な有権者を誹謗する話になってしまった。

 認知症が囁かれるバイデン、トランプ両氏の脆さがいみじくも露呈したといっていい。