危機に直面するロシアの養殖産業
ロシア漁業経済協会によると、2025年の養殖水産物の売り上げが前年比12.5パーセントも減少した。急減の理由は温暖化による水温上昇と、戦時経済下の物価上昇により、生産も消費も落ち込んだことにあった。
生産量を見ると、サンクトペテルブルクの位置する北西部では前年比14.5パーセント減、カスピ海西岸の北コーカサスでは13.2パーセント減、日本海に面する極東は34.5パーセント減と、危機的な落ち込みを記録した。
特に予想外だったのは、フィンランド国境のカレリアの湖水地帯でのトラウト・サーモンの生産減少だった。天然のサケマスの減少傾向は前提として、これまで順調に生産量を伸ばしてきた養殖のトラウト・サーモンだが、水温の上昇によって減ってしまった。トラウトはロシアン・スシ用で生食可だ。
養殖魚の消費を見ると、2025年は前年比で販売量は12.5パーセント減、金額では2.5パーセント減だった。物価が上昇しているので、養殖魚の単価も上がっていることがわかる。
戦時下の2025年、ロシアは食料の安定供給の観点から連邦漁業庁を通じて、飼料、薬品、養殖資材の購入に対し、漁業企業向け低利短期融資を約29億ルーブル(約60億円)実施した。とはいえ、インフレによって飼料価格は前年比約29パーセント上昇し、それにつれて、例えばコイの価格はこの2年間で63パーセントも上昇している。
政策金利は15.5パーセントと、少しは下がったものの高金利状態はかわらず、中小の漁業企業は銀行からの融資を受けられない。漁業庁の低利の融資の上限額も使い果たしてしまい資金が足りない。もっと魚を養殖しろと政府から言われるが、ノルマを達成できず企業経営者が自死に追い込まれるのは軍需産業だけではない。
養殖魚の生存率を高めるために、もっと漁業労働者や専門の獣医が必要だとの声も上がっているが、兵士にとられてしまい補充の見込みはない。