「私、ウソ嫌い。でも2人、良いウソ。素晴らしい」

 節目の第100回(同20日)、クマは「お世話になりました」と言い、去ろうとする。周囲は一斉に止めたが、1人だけ突拍子もないことを言い始めた。丈である。

「少し前から懐中時計がないんです。また誰かに・・・」

 一同は顔を見合わせる。丈によると、クマが不在の間になくなった。ヘブンとトキも出掛けていた。クマの疑いは晴れ、ヘブン家に留まることになった。

 やがて丈は正木に対し、クマを辞めさせないためのウソだったと打ち明ける。収まらないのは疑いが晴れていない司之介とフミである。また口論を始めた。すると今度は正木が「財布がなくなった」と言い始めた。

 正木の言い分によると、財布がなくなったのは司之介とフミの口論中。だから2人が盗ったものではない。言うまでもなく、これもウソである。司之介とフミの疑いを晴らすためだった。

 問題は解決。一同に笑顔が戻ると、真相に気付いたヘブンは大声を上げた。

「私、ウソ嫌い。でも2人、良いウソ。素晴らしい! 熊本、何もない、それもウソ。日本人の心、あります!」

 ヘブンがウソを酷く嫌うことを視聴者側が知ったのは第26回(昨年11月3日)。ヘブンが物語に初登場したのが第22回(同10月27日)だから、早くから伝えられていた。節目の100回で、やっと良いウソもあることを知った。

 初登場後に滞在していた松江の花田旅館の主人・花田平太とヘブンは、女中のウメ(野内まる)を目医者に連れて行くと約束した。しかし、花田が忘れてしまったため、「ここ地獄!」と激怒する。約束を破るというウソを許さなかった。

 ヘブンは、目に見えるものばかりが本の題材ではないことにも気付かされた。ヘブンの第1作で架空の『日本滞在記』と、ハーンの第1作で上下巻の『日本の面影』(1894年)は似ているところがある。ハーンの著作は上巻は日本の文化が中心だが、下巻は日本人の心にボリュームが割かれている。

 ハーンは同書で「本当の日本は、日本人の並外れた善良さ、辛抱強さ、素朴な心にある」と書いている。ヘブンも焼き網騒動によって、自分が書くべき日本が日本人の心の中にあることを知った。