法人の不正利用に結びつく単立宗教法人とは

 不活動宗教法人の種別をみると、特定の宗派・教団に属する法人(被包括宗教法人)が4494法人で全体の89.5%を占める。一方、どの宗派・教団にも属さない単立宗教法人が521法人(10.4%)に上る。

 都道府県別では、岐阜と大阪がともに367法人で最多だ。次いで新潟360、広島302、千葉223、兵庫198、福岡197、長野196と続く。過疎化が進む地方都市だけでなく、大都市圏にも不活動法人が多数存在している実態が浮かび上がる。

 特に単立宗教法人の増加が、法人の不正利用に密接に結びついている。

 わが国のほとんどの寺院や神社は、「浄土宗」や「日蓮宗」、「神社本庁」といった包括法人の傘下にあり、その監督・指導のもとに被包括法人(末寺や末社)が活動を実施している。寺院は宗門で決められた修行や儀式を通じて、社会的な信用性を得ながら活動を継続しているのだ。

 だが、宗教法人の売却を目的として、宗門から離脱して単立になる宗教法人が近年増加している。宗門に属したままだと、法人を売却することが「許可」されないからだ。

 特に「単立の不活動宗教法人」で「檀信徒(氏子)を有さない法人」は、何らかの思惑をもつ第三者からすると「利用価値が高い」とみなされやすく、極めて危険な状態である。早急に、宗教法人の解散手続きを取る必要がある。

和歌山県内の不活動宗教法人。この寺院からは仏像が盗まれた

 宗教法人悪用の手口は、こうだ。

 宗教活動の継続が困難になった法人の代表役員(住職や宮司など)に対し、ブローカーが「宗教活動を引き継ぎましょうか」「退職金代わりに金銭を寄附します」「後継者問題の解決になりますよ」などと接触してくる。高齢で後継者もなく、人件費や建材費の高騰で建物の維持修繕もままならない住職や宮司にとって、これは魅力的な申し出に聞こえるのだ。

 なかには住職や宮司が自身の老後資金捻出のために、宗教法人を売却するような事例もあるようだ。

 宗教法人の売買にからんで、刑事事件になった例は枚挙に暇がない。