安倍元首相も突破できなかった壁に挑むか

 今後、日本政治は一強多弱の勢力分布となる。一強である高市政権は、国家情報局や対外情報機関の設置、スパイ防止法制定、国旗損壊罪創設、旧氏の通称使用法制化、防衛力強化政策などを主要政策と位置付けている。

 これらは、日本で長らく支配的であった戦後民主主義的価値観と相反する方向性を持つ。よって根強い抵抗を生み、実現に至らなかった。しかし、今回、それぞれの政策はともかく、少なくとも政権自体は民意を得たのだ。

 また、世論は保守回帰が言われ、野党にも国民民主党、参政党など保守系勢力が一定を占める。絶好の機会が生まれたわけである。一連の政策が実現し始めれば、日本にとって「戦後の終焉」とも言うべき、歴史的なリ・スタートとなる。

 その最たるものは、憲法改正である。事実、高市首相は自民党圧勝予測が報じられたことと軌を一にするかのように、選挙戦で改憲に言及した。安倍元首相も突破できなかった壁でもある。

山口県長門市で開かれた安倍元首相をしのぶ会であいさつする自民党の高市前経済安保相=2025年7月8日(肩書は当時、写真:共同通信社)

 もっとも、自維連立政権は参院では少数与党のままであり、発議に衆参で3分の2以上の賛成を要する改憲の環境はとしては不十分な点がある。また、以上の一連の政策に根強い反対論があることは、言を俟たない。

 同時に、国会審議では統一教会問題など、高市首相に逆風となるテーマは少なくない。個別政策の議論に入れば、民意の支持が続くかは、不透明な部分がある。

 3カ月半前、大きな話題性を伴って幕が開いた高市劇場の本番はこれからだ。今回、審判を下した有権者は国の主権者として、一層、真剣に見つめ続ける責務がある。