公明票の「足し算・引き算」だけでない結果に
高市首相が1月19日に衆院解散の意向を表明する前後には、自民党は現有190議席台から伸ばすものの、単独過半数には達しないという予測がよく報じられた。例えば210とか220といった議席数である。
それは、中道改革連合に参画した公明党の票に注目したためである。強固な組織力を持つ公明票が、中道の小選挙区候補の得票に上積みされ、自民党候補に競り勝つケースが多くなるという想定であった。
理屈は成り立つものの、内閣支持率の高さによる無党派層や若い世代への浸透力について洞察が欠けていた。特に、投票率が上がった場合、高市氏の潜在的な人気の威力は大きい。投票者数における組織票の割合は小さくなるためだ。
政権筋の一人は「今回は組織票の足し算と引き算という、これまでの選挙ではない。投票率を上げ、広範な人気を保つ高市首相を信任してくれる票を増やすことだ」と語った。女性首相の誕生と連立の組み換えは、勝利の法則をも変えたのだ。
また、解散が取り沙汰され始めた頃は、自民党の政党支持率が30%程度で内閣支持率と大きな乖離があるため、自民党が苦戦するとの観測があった。高市人気は有権者の投票行動に直結しないという見立てである。
しかし、そういう見方とは裏腹に、解散表明後、複数の世論調査で自民党支持率は上昇した。例えば、共同通信が公示直前の1月24~25日に行った調査では、自民党支持率は前回12月20~21日調査より7.6ポイント増の38.7%となった。
高市内閣は支持するが、自民党を支持しているわけではない人たちも、いざ衆院選となれば、高市氏が率いる自民党を支持すると判断したことが想定される。
一連の動きを見渡せば、今回の衆院選は、高市氏が制覇した25年10月の党総裁選の延長線上にあると見ることができる。総裁選は、100万人の党員を対象に、退陣表明した石破首相の次の指導者に誰を選ぶかを委ねた。この衆院選は、同じことを1億300万人の有権者全体に問うたのである。