有権者の眼中に入らなかった中道

 こうした巧みな構図設定に翻弄され、一敗地にまみれたのが、中道である。中道は当初から高市政権が日本を「右傾化」させていると位置付け、「右派勢力VS中道」というイデオロギー的な対立軸を提示した。「生活者ファースト」「人間中心」を掲げ、物価高対策や格差是正、中低所得者対策や労働者保護などで、自民党に論争を挑んだ。

 しかし、高市首相は自身による政権続投への信任を有権者に問うという構図を崩さず、中道との論争は嚙み合わなかった。それどころか、中道に言及すらしなくなった。自分と有権者だけのフレームをつくってしまったのである。

 中道は、争点をつくり出すことに失敗したのみならず、土俵の外に追いやられた形となった。有権者は中道を拒んだというより、眼中に入らなくなったというのが、より適切だろう。

 中道の再建は難航を極めそうだ。出直しを図る執行部人事さえ、ままならない可能性がある。解党して、それぞれ立憲民主、公明の両党に戻るとの観測もある。中道勢力を結集して政界再編を目指すという方針の総括も必要になるはずだ。