前首相の石破氏と元首相の岸田氏(写真:ロイター/アフロ)
議席を取り戻すため高い支持率を背景に衆院を解散した高市総理に対して、26年続いた自公連立を解消した公明党は、野党第一党の立憲民主党と合体して「中道改革連合」を結成した。野党再編の流れを作ろうと長年奔走してきた政治運動家は今何を思うのか。『現代ファシズム論 何が民主主義を壊すのか』(朝日新書)を上梓した法政大学法学部教授の山口二郎氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)
──本書が出た直後に立憲民主党と公明党が一緒になり「中道改革連合」を結成しました。本書の中でイギリスやドイツの中道左派政党の歴史について解説していますが、今回の動きをどう見ていますか?
山口二郎氏(以下、山口):高市総理のもとで自民党が右傾化し、国家権力を強化しようとする中で、穏健で寛容な理念を持つ政治勢力を再結成する必要があるとこの本の最後に書きました。
私から見れば石破前総理は許容範囲内の人で、「戦後80年所感」もなかなか立派な文章でした。裏金問題など自民党が抱えてきたさまざまな構造的な問題にそれなりにケジメをつけたいという意思もうかがえました。ところが、2025年の参院選で自民党が大敗すると石破おろしが始まった。負ける要因を作った人たちが石破おろしに励む姿は醜悪でした。
自民党の中の比較的まともな人々は、高市的な右派ポピュリズムにはついていけないと感じていると思います。また、今回の選挙で村上誠一郎氏を比例名簿の当選圏外に置いたことに現れているように、高市総裁もまともな政治家をパージしたいと考えている。
そういう人たちを含めて、中道リベラル・穏健保守の新しい枠組みを作っていかないと、右派ポピュリズムに対抗する図式は描けません。そういう話は、参院選の後に立憲民主党の野田佳彦代表とも話しました。あまりにも唐突な解散総選挙を前に、立憲と公明が手を組むのは必然だと思います。
──山口さんはこれまで野党がまとまるための場づくりに励んできましたが、公明党はやや想定外の相手ではありませんか?
山口:1999年から自公連立が続いてきましたから、「ずっと自民党の悪事に加担してきたじゃないか」という攻撃をしようと思えばできます。一方で、連立を離脱したという決断には相当な意味があると思います。高市政権が日本を壊すという理解を公明党も創価学会も持っているのではないでしょうか。
──立憲を支えている日教組や労組と公明党を支える創価学会は、一緒にさまざまな政治テーマを話し合っていけるでしょうか?
山口:自治労などはずっと創価学会と付き合いがありますから、あまり違和感なくやれると思います。
──公明党との連立に怒って離党を決めた原口一博さんは河村たかしさんと「減税日本・ゆうこく連合」を立ち上げましたが、他の立憲の議員の方々は公明との合体をどう受け止めているでしょうか。
