第三に、高市早苗政権も唱える「給付付き税額控除」は急ぐべきだ。これは、所得控除から税額控除への転換の一つだ。先進国の多くで導入されており、低所得層には負の所得税を課して再分配機能を高める仕組みだ。

「負担構造改革」の政策論争を

 以上の改革を実行すると、負担率のイメージは図7のようになる。図3と見比べてほしい。右上がりの傾きが生まれる。1990年以前には当たり前だった、「豊かな人には負担を求め、生活の苦しい人は助ける」構造が復活する。再分配後のジニ係数は大幅に下がり(0.33→0.31)、図1の上位グループから中位グループに移る。

図7※表示は図3と同様。推計の前提は次のとおり。 1)所得控除:基礎控除は廃止、給与所得控除は一律65万円に縮小。 2)社会保険料:収入比例に一本化し、料率は三分の一カット(10%に)。 3)給付付き税額控除:年収200万円まで社会保険料額を補填(最大20万円)、200万円超で逓減し400万円で消失

「中所得層はもっと所得税負担を」との主張には、引っかかりを覚える人も多いかもしれない。だが、代わりに社会保険料を下げるので、負担が一方的に増えるわけではない。制度設計次第だが(図7の推計は7兆円程度の歳出削減が前提)、合計負担率は低所得層で大幅に下がるだけでなく、中所得層もやや下がる可能性がある。

 課題の本丸は、消費減税より、こうした負担構造改革だ。選挙でも大いに政策論争し、実現に向かうことを期待したい。これ以上の格差拡大は、低所得層を苦しめるだけでなく、社会全体を不安定化しかねない。

(本稿の執筆にあたり、制度・規制改革学会での諸提言や議論を参考にした)