だが、それ以上に重大な要因がある。政府の再分配機能の不全だ。

 図1は再分配(政府による税・社会保険料の徴収と社会保障給付)の後の格差だが、図2は再分配前の格差を比べたものだ。

図2(出典)OECDデータ(18-65歳、2023年または最新年)

 再分配前は、日本は先進21カ国の中でやや格差が小さい。つまり、日本は再分配機能が劣るために格差が大きい。これまでも私は繰り返し指摘してきたことだが、日本は「官製格差大国」なのだ(『「官製格差大国」の処方箋』産経新聞1月19日月曜コラムなど)。

社会保険料が重く、所得税が軽い

 再分配機能が弱い最大の要因は、負担構造の累進性が乏しいことだ。消費税や保険料の事業主負担も加えた合計負担率をみると、年収200万円で42%、年収500万円で44%、年収800万円で46%とほぼフラットで、ごくわずかな高所得層で少し上がるだけだ(図3)。

図3※給与所得者(扶養者なし)の税額等を算出。消費税は家計調査等から推計。横軸は収入分布(国税庁データ)に基づく。合計負担率は、所得税・住民税・消費税・社会保険料(本人・事業主負担)の総計

 再分配の根幹は「負担できる人には負担を求め、生活の苦しい人は助ける」はずだが、日本の負担構造は「負担できる人にたいして負担を求めず、生活の苦しい人には重い負担を課す」状態になっている。

 元凶は、社会保険料が重く、所得税が軽いことだ。図3でも明らかなように、社会保険料は逆進的だ。低所得層に重くのしかかり、高所得になると保険料が頭打ちになって負担率は下がる。累進的な所得税の比重が低く、社会保険料の比重が高いから、全体の累進性が失われる。