ナデラCEO、実社会への「AI浸透」急ぐ

 サティア・ナデラCEO(最高経営責任者)は、次世代のAI基盤として「AIスーパーファクトリー」と呼ばれる大規模なデータセンター群の構築を急いでいる。

 1月26日には、自社設計の推論向け新型チップ「Maia 200」を発表。競合他社のチップよりも高速かつ低コストでの処理を可能にし、巨額のインフラコストを抑制するとともに、AIサービスの採算性を向上させる狙いがある。

 ナデラ氏は最近の発言で、「AIの能力向上は目覚ましいが、実社会への真の影響はこれからだ」との認識を示した。

 AIを一時的なブームにとどめず、全産業での普及を通じて投資を確実に収益へつなげる姿勢を強調した。

業務ソフト17%増、Copilotの有料利用が拡大

「Office」や「Dynamics」などを含む「プロダクティビティー&ビジネスプロセス」部門の売上高は、16%増の341億1600万ドル。

 AI支援機能「Copilot(コパイロット)」を組み込んだ企業向けソフト「Microsoft 365 Commercial」が17%増と成長を支えた。

 同社は現在、AI基盤の多様化を進めている。

 オープンAIのモデルに依存するだけでなく、新興の米アンソロピックのモデルを開発支援や業務ソフトに採用するなど、提携先の幅を広げている。

 昨年11月にはアンソロピックへ最大50億ドルを投資する方針を示し、同時にアンソロピックがアジュールのクラウド能力を300億ドル分購入する契約を締結。

 これにより、AIエコシステム内での主導権確保とクラウド収入の安定化を同時に狙う。

 一方、Windowsやゲーム事業を含む「モア・パーソナル・コンピューティング」部門は3%減の142億5000万ドルだった。特にゲーム事業は、ハードウエアの販売不振などが響き5%の減収となった。

投資の「規律」と収益化のスピード

 マイクロソフトが直面している最大の課題は、天文学的な規模に膨らむ設備投資が、いつ、どの程度の利益として結実するかという「投資効率」の証明だ。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、市場ではAIバブルへの警戒感も根強く、インフラ投資が先行しすぎるリスクを懸念する声が多い。

 今後は、自社製チップの導入によるコスト削減効果や、アンソロピックなどとの連携による収益機会の拡大がカギを握る。

 供給不足を解消しつつ、高コストなAIインフラをいかに効率的に運用し、企業ユーザーへの課金を拡大できるか。

 ナデラCEOの掲げる「AIの民主化」と、フッドCFOが進める「規律ある投資」のバランスが株価動向を左右することになりそうだ。