補強内容から見えてくる、ドジャースと勝負するための設計図

 この巨額投資を単なる「数字の誇示」に終わらせていない点こそ、今オフのブルージェイズの真骨頂だ。その象徴が、日本の主砲・岡本和真をポスティングシステムで獲得したことである。

米大リーグ、ブルージェイズの入団記者会見で記念写真に納まる岡本和真内野手(中央)。右はゼネラルマネージャーのロス・アトキンス氏、左は弁護士のスコット・ボラス氏(写真:共同通信社)

 巨人で長年4番を任されてきた右の強打者は、長打力だけでなく、三振の少なさと対応力の高さを併せ持つ。一塁、三塁、外野をこなせる守備の柔軟性も含めレギュラーシーズンのみならず、ポストシーズンも見据えた短期決戦仕様のピースとして、ブルージェイズの構想に合致した存在だった。

 投手陣の補強も抜かりはない。先発の柱として白羽の矢を立てたのが、サンディエゴ・パドレスからFAとなっていた屈強右腕のディラン・シース。計算の立つイニングイーターとして、ローテーションの安定感を一気に引き上げる存在だ。

ブルージェイズの入団会見に臨んだディラン・シース投手(中央)。右はブルージェイズのDMロス・アトキンス氏、左は弁護士のスコット・ボラス氏(写真:AP/アフロ)

 さらに昨季は韓国KBOのハンファ・イーグルスで圧倒的な成績を残し、かつてはNPBの北海道日本ハムファイターズや東北楽天ゴールデンイーグルスでもプレー経験を持つ米国人右腕コディ・ポンセを加え、先発陣の厚みと多様性を同時に確保した。

日本ハム時代のコディ・ポンセ投手。ソフトバンク戦でノーヒットノーランを果たし、チームメートから祝福を受ける=2022年8月27日(写真:共同通信社)

 重要なのは先にも述べたように、これらの補強が単年勝負にとどまらない点だ。岡本を軸に据えた中軸構想、シースを中心とした投手陣の再編はMLB屈指の「最激戦区」と目されるア・リーグ東地区でニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックスを倒して今後も地区Vを連覇し続け、ワールドシリーズでは怨敵・ドジャースと複数年にわたって覇権を争う前提で描かれている。

 ブルージェイズは今オフ、ただ勝ちに行ったのではない。王者と同じ土俵で戦うための「設計図」を、はっきりと描いてみせたのである。