古代ギリシアへのオマージュ「グエル公園」
グエル公園 写真/Neirfy / PIXTA(ピクスタ)
ガウディが重視した「自然」と「歴史」の融合を感じられるのが、世界遺産に登録されたガウディの7つの作品のひとつ「グエル公園」だ。グエル公園はガウディと、彼の友人であり実業家でもあったエウセビ・グエル伯爵との協働事業のひとつ。当初はバルセロナ郊外の山の斜面に60戸の宅地を整備することを目的に開発された住宅プロジェクトであったが、購入希望者を集めることができずに、その敷地は公園として一般に開放されることになった。
ガウディはそんなグエル公園を古代ギリシアの中心地であったデルフォイ神域へのオマージュと位置づけていた。公園の中央広場はギリシア劇場と命名され、劇場の正面に設えられたドリス式列柱はデルフォイ神域のアポロン神殿を連想させる。
なぜガウディは斜めの柱を建てたのか
「ガウディ没後100年公式事業 NAKED meets ガウディ展」展示風景
こうした「歴史」に、ガウディは「自然」の構造を溶け込ませた。公園内の建造物の柱は傾き、中央広場を囲むように設置されたベンチは“なめらか”とは言えない凸凹とした曲線を描いている。では、どうして柱は垂直ではなく、倒れそうなほどに傾いているのか。ガウディはその理由をこう述べている。「なぜ斜めの柱を建てたのかと聞かれたら、私はこう答えます。疲れた歩行者が柱に杖を立てかけるのと同じ理由です」
では、どうしてベンチは凸凹としているのだろう。それは、ベンチが単なる装飾ではなく、人体を包み込むように緻密に設計されているためだ。ガウディはベンチの形状を完璧にするため、座る労働者の姿を柔らかい石膏に直接型取りし、背中と脚の自然な曲線を捉えたのだという。
グエル公園の入口階段を守るように設置された大トカゲ「エル・ドラク」は、バルセロナのシンボルとして名高い。このトカゲの表面はトレンカディスタイル、すなわち細かく打ち砕かれた“破砕タイル”で覆われている。この手法により、ガウディはトカゲに生命感を与えた。陽光を受けたトカゲは、命ある有機体のように光り輝き始める。