世界秩序の崩壊、心地よい虚構の終焉、厳しい現実の始まり

 グリーンランドと同様、トランプ氏に「米国の51番目の州に」と恫喝されているカナダのマーク・カーニー首相はダボス演説でミドルパワー諸国に対し、ハードパワーの台頭と大国間の対立に対抗し、より協力的で強靭な世界を築くために協力しようと呼びかけた。

「世界秩序の崩壊、心地よい虚構の終焉、厳しい現実の始まりは大国間の地政学がいかなる制約も受けない厳しい現実を突きつけている。カナダのようなミドルパワーは無力ではない。人権尊重、持続可能な開発、連帯、主権と領土保全の価値観を含む新しい秩序を築く力がある」

カナダのカーニー首相(写真:Kilpatrick Sean/CP/ABACA/共同通信イメージズ)

「金融界のロックスター」の異名を取ったカーニー氏は米ハーバード大学を卒業後、英オックスフォード大学で経済学の博士号を取り、米金融大手ゴールドマン・サックスに勤めた。カナダ財務省副大臣、カナダ銀行(中央銀行)総裁、金融安定理事会議長を歴任した。

 2013年、300年以上の歴史を持つ英イングランド銀行(中銀)で初めて英国人以外の総裁となった。欧州連合(EU)離脱国民投票前に、離脱を選択すれば不況の引き金になる恐れがあると警鐘を鳴らし、強硬離脱派から目の敵にされたが、跳ね除けたタフガイだ。