なぜ退任後に問題が起きやすいのか
① 強すぎる大統領制:
外交・軍事・行政・人事に及ぶ強大な権限が大統領に集中し、任期中に利権構造や政治的対立が肥大化しやすい。
② 再選不可の単任制:
任期終了と同時に政治的保護が失われ、後継政権が前政権を捜査する制度的動機が生じる。
さらに、前政権への批判を強めることが、現政権の正統性を強化する手段として機能する場合もある。
② ゼロサム型の政治文化:
政権交代はしばしば「前政権の清算(場合によっては粛清的性格を帯びる)」を伴い、政治対立が一段と激化しやすい。
④ メディア・市民社会による強い監視機能:
韓国では不正疑惑が表面化しやすく、政治的スキャンダルが急速に増幅される傾向がある。
背景には、メディア環境の強い分極がある。主要紙はしばしば「右派系」(朝鮮日報、東亜日報、中央日報)と「進歩系」(ハンギョレ新聞、京郷新聞)に明確に分かれ、時の政権に対して反対側の陣営メディアが、是々非々を超えて批判的論調に傾くことが多い。
さらに韓国の政治学・安全保障分野では、北朝鮮の情報機関が半世紀近くにわたり対南工作を継続してきたことが、国内政治の分極化に一定の影響を及ぼしているのではないかという指摘も存在する。
今回、前大統領・伊錫悦がクーデターを企図した動機として、法廷で「北朝鮮による政治浸透への危機感」を挙げ、親北的とされる歴代政権の存在をその「成果」とみなす認識を示したことは、こうした議論の一端を象徴している。
このように、韓国の情報環境は政治的対立を増幅しやすい構造を抱えており、スキャンダルの噴出と政権不安定化が繰り返される背景となっている。