シール文化、世界中で

 日本のシール文化はその後、ホログラムや立体加工を駆使したシール(たまごっちやポケモン)、自分自身や友人関係を全面に押し出すプリクラなどに引き継がれました。

 もっとも、シール文化は日本だけのものではありません。外国で有名なのは、イタリアのパニーニ社が販売しているサッカーステッカー(シール)です。各国の有名選手やチームのエンブレムなどをデザインしたもので、発売開始は1961年。お菓子などのオマケではなく、ノートなどに貼って楽しむコレクション用として販売されました。

 サッカーはファン人口約35億人とされ、世界で最も人気あるスポーツです。パニーニ社のサッカーシールも発売当初から人気を呼んでいましたが、1970年のワールドカップ(W杯)メキシコ大会でFIFAと提携して公式ステッカーアルバムを発売すると、人気は爆発的になりました。

 現在は世界100カ国以上で販売。AFP通信などの報道によると、ワールドカップ(W杯)がロシアで開かれた2018年には年間約10億ユーロ(約1840億円)を売り上げ、工場では毎日900万枚以上が制作されたと言われています。

 このほか、米国のパロディ・ステッカー「Wacky Packages」「Garbage Pail Kids」なども良く知られた存在です。そして特徴的なのは、欧米でもシール交換が盛んなこと。ブラジルでは2022年にパニーニ社のサッカー・ステッカーの大規模交換会が開かれ、実に1447人の参加者が8時間にわたって交換を続けました。このイベントは世界記録としてギネスブックにも載っています。

 大小のシール交換会は各国で数え切れないほど存在するとされるシールの世界。ボンボンドロップシールもその一翼を担っているのです。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。