「尊厳死の法制化」を訴える政党が躍進した(写真:mapo/イメージマート)
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尊厳死の法制化を──。国民民主党と参政党が終末期医療の見直しを提唱している。2025年の参院選で躍進したいずれの党も、現役世代の支持が厚い。日本では本人の意思で延命措置が中止される「尊厳死」が法制化されておらず、さまざまな倫理問題を引き起こしているとして、主に現役世代が声を上げているのだ。超高齢化社会を突き進む日本で、終末期医療をどのように考えるべきか。「リビング・ウイルの法制化を」と訴える医師で日本尊厳死協会理事長の北村義浩氏に話を聞いた。

(湯浅大輝:フリージャーナリスト)

高まる終末期医療への関心

──先の参院選では「尊厳死の法制化を」と唱える政党が躍進しました。現役世代からの支持が厚い政党がこのアジェンダを持ち出したことについて、どのように分析していますか。

北村義浩氏(以下、敬称略):率直に言って、びっくりしました。僕の知る限り、これまで国政政党が「尊厳死の法制化」をマニフェストに明記したケースは知りません。

北村義浩(きたむらよしひろ)公益財団法人日本尊厳死協会理事長 1985年 東京大学医学部医学科卒業。1989年に同大学大学院医学研究科微生物学の博士課程を修了。1990年に米国のタフツ大学に留学。2006年からは中国の日中分子免疫学・分子微生物学連携研究室(LMIMM)で新興再興感染症の研究に携わる。帰国後は国際医療福祉大学基礎医学研究センター教授を経て、2024年から日本医科大学医学教育センター教授。

 やはり、超高齢化社会と呼ばれて久しく、国民の間でも「死に方」に対する問題意識が広がっているのかなと受け止めています。

──日本尊厳死協会は、リビング・ウイル(人生の最終段階における医療についての意思表明書)の法制化を掲げています。どうしてですか。