高齢馬スピードシンボリの連覇という偉業

 上記の馬たちが有馬記念を連覇した際の馬齢(以下、現在の馬齢表記です)を記してみると、シンボリルドルフが3&4歳、グラスワンダーも3&4歳、シンボリクリスエスも3&4歳、つまりこの3頭はどれも競走馬として全盛期である時期(人間にたとえると20歳前後くらい)に連覇を達成しています。

 対してスピードシンボリの場合は、6&7歳時での連覇であり、人間の年齢だと、おそらく30歳前後くらいに相当するでしょう。

 スピードシンボリ連覇の際、2着馬は2年続けて3歳若いアカネテンリュウでした。着差は「ハナ」「クビ」という僅差で、まさに薄氷を踏むような勝利でしたが、この「ハナ」と「クビ」というわずかな差に、高齢馬スピードシンボリの意地とプライドが現われているような気がするのです。

 スピードシンボリとアカネテンリュウの最初の対決はアカネが菊花賞を制覇し、伸び盛りの時期での挑戦でした。今あらためて残された画像を確認してみると、あと50メートル先にゴール板があればスピードシンボリとアカネテンリュウの着順は逆になっていたかも、と思わせられます。でも結果を知ってから見てみると、伸び盛りの若馬アカネテンリュウに対し、海外遠征経験済みの百戦錬磨の古豪が、抜けそうで抜けなかった「ハナ差」「クビ差」の違いがいかに大きな差であるかということを、3歳下の若者に教えていたようなレースでした。 

 翌年もスピードシンボリの2着に終わったアカネテンリュウですが、もしシンボリがいなければ、有馬記念連覇の歴史はアカネテンリュウから始まっていたことになり、菊花賞に加えG2級重賞5勝も加味すると、その後におけるアカネテンリュウの評価はかなり違ったものになったことでしょう。

 さて、ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』最終回では、目黒蓮演じる若き馬主(オーナー)の持ち馬、ロイヤルファミリーがはたして有馬記念優勝という悲願を果たすことができるのか。このドラマによって、競馬とは縁の薄かった人たちが競馬や「有馬記念」という競馬界の大イベントに興味を持ってくれるといいですね。

(編集協力:春燈社 小西眞由美)