メタは第3の立場を取り始める可能性

 Metaも今ではオラクルと同じように、クラウドを貸し出すファシリテーション企業になりました。

 アマゾンがAWS(Amazon Web Services)を収益の柱にしているように、オラクルやMetaも収益の柱にしようとしています。

 ここでTPUが持つ省電力・高効率の特性が、Metaの経営判断に大きく影響します。

 もしTPUを採用すれば、学習コストが下がり、推論コストも大きく削減できるかもしれません。これは企業規模の話ではなく、文明規模のインフラ費用の調整力です。

 加えて、グーグルとMetaのAI研究環境が近づけば、モデル互換性が高まり、さらにAI標準がグーグル主導で進む可能性すらあります。

 サプライチェーンの観点でも、NVIDIA一極依存はリスキーです。どの時代でも、基盤技術を1社に握られるというのは企業にとって長期的な弱点になります。

 Metaはその構造を変えようとしているのです。

 GPU対TPUの戦いが深まると、いずれAIプラットフォーム戦争という形へ進化します。AIモデルがどちらを前提に最適化されるかで世界が二分されるからです。

 OpenAIはGPUに最適化したアーキテクチャを進めています。グーグルはGeminiをTPUと一体化させながら巨大モデルを更新しているのです。

 Metaは両対応という第三の立場を取り始めるでしょう。

 つまり企業は、どのAIプラットフォームの上に自社のサービスを築くのか、パソコンのOS選択に近い判断を迫られる時代へ突入するのです。